この記事では、高校数学で理解できる、
「素数が無限に存在することの証明」
について、紹介したいと思います。
素数について
まずは「素数」について、
正確な定義からおさらいしていきましょう。
「素数」とは、
正の約数が1とその数自身のみである自然数。
簡単に言えば、
正の約数を2つしか持たない自然数です。
具体的には、以下の通り。
「1」約数:1 → 素数ではない
「2」約数:1, 2 → 素数
「3」約数:1, 3 → 素数
「4」約数:1, 2, 4 → 素数ではない
「5」約数:1, 5 → 素数
「6」約数:1, 2, 3, 6 → 素数ではない
「7」約数:1, 7 → 素数
「8」約数:1, 2, 4, 8 → 素数ではない
…
「1」は約数が1つしかないため、
素数ではありません。
また、「4, 6, 8」は約数が3つ以上あるため、
素数ではありません。
背理法について
では次に、数学の証明方法の一つである、
「背理法」について紹介します。
「背理法」とは、ある命題が、
正しくないと仮定して矛盾を導くことで、
もとの命題が正しいことを証明する方法。
例えば、「猫が犬でないこと」
を背理法で証明すると…
①「猫が犬である」と仮定する。
②犬は「わんわん」と鳴くが、
猫は「わんわん」と鳴かない。
③よって「猫が犬である」
という仮定に矛盾が生じる。
④よって「猫は犬ではない」。

少し強引な例ですが…
イメージとしてはこんな感じ!
このような方法を「背理法」といいます。
【証明】素数は無限に存在する
それでは本題の、
<素数が無限に存在することの証明>
を紹介したいと思います。
—(証明)—
背理法を用いるので、
<素数が無限に存在しない>
つまり、
<素数が有限個(n個)しか存在しない>
と仮定して矛盾を導いていきます。
このn個の素数を、
P1、P2、P3、…、Pn
と名付けておきます。

このあとの証明の流れは…
いま、この世界には、
「P1~Pn のn個の素数しかない」
と仮定したので、
「P1~Pn 以外の素数が存在すること」
を見つけてあげれば、
仮定が間違っていたことになり、
素数が無限に存在することを証明できます。
ここで、
P1~Pn までをかけ合わせた数に1を足した数
を「Q(※)」とします。
※ Q = ( P1 × P2 × P3 × … × Pn ) + 1
すると「Q」は、
P1~Pn のどの数でも割り切ることができません。

もう少し詳しく説明します!
P1~Pn までをかけ合わせた数
( P1 × P2 × P3 × … × Pn )
は、P1~Pn の倍数なので、
P1~Pn のどの数でも割り切ることができます。
ただ、「Q」はそこに1を足しているので、
P1~Pn のどの数でも割り切ることができない、
ということになります。
よって、この「Q」という数は、
1とQでしか割り切れない数。
つまり、「Q」は P1~Pn 以外の素数
ということになります。
ゆえに、仮定が間違っていたことになるので、
素数は無限に存在することが証明されました。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
非常にシンプルで個人的に好きな証明のひとつです。
※この記事の内容は、動画でも解説しています。
▼YouTube「好きになる数学」ch
ちなみにこの背理法による証明は、
紀元前にユークリッドにより発見されたといわれています。
素数が無限に存在することの「証明」は、
この方法以外にもいくつかありますので、
興味がある方はぜひ調べてみてください!
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